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会長就任にあたって
日本乳酸菌学会 会長
横田 篤
北海道大学
この度、図らずも会長を拝命いたしました。責任の重さに身が縮む思いですが、これまでお世話になりました本学会発展のために力を尽くす所存ですので、ご指導、ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。
昨年、本学会は前身の乳酸菌研究集談会の時代から通算して20周年の節目を迎え、シンポジウムや出版等の記念事業が成功裡に執り行われました。これは取りも直さず本学会がこの間に着実に力をつけてきたことを証明するものであり、誠に喜ばしく、運営に当たられた山本憲二前会長、本学会役員はじめ関係の方々には、この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
さて、成熟期に入ったと考えられる本学会の運営方針について触れさせていただきます。基本的な考え方は、きめ細かく中味の充実を図り、会員の皆様の満足度をより一層高めることであると思っております。新会長の抱負としては華やかさにかけるかも知れませんが、私の正直な気持ちです。そのためにどこに問題点があり、どのような改善、あるいは改革が必要か、暫く役員から離れておりましたので、少し勉強させていただき、適確な措置を講じたいと思います。
私なりに考慮すべき点をいくつかあげてみます。まず、本学会の会員構成ですが、学官と食品産業に所属する会員(含賛助会員)の割合がほぼ同じであります。産の視点を大事にしつつ、学会本来の学の視点とのバランスを常に意識して運営に当たりたいと思います。次に、前会長の方針にもありましたように、「若手の育成」の重要性です。二十歳を迎えた学会としては、これからの乳酸菌研究や学会の発展を担う人材の育成に真剣に取り組まなければなりません。若手の方々に、ご自身が主役であるという意識を持って学会活動に参加していただけるような機運を高めることができればと思います。さらに、最も重要と考えられる点として、乳酸菌研究の質的変化があげられます。ここ10年間のゲノム研究の進展が乳酸菌の個別研究を急速に深化させた一方で、腸内細菌の一員としての乳酸菌あるいはビフィズス菌の研究、特に宿主と微生物の相互作用に関わる研究が急増しています。これはプロバイオティクスの科学にとって必要不可欠であり、この傾向は今後さらに強まると考えられます。これに伴い、従来の枠を超えて、関連の他学会等とも連携し、適切な情報発信/収集を図っていかなければなりません。そのためにも改めて本学会の立ち位置を明確にし、その体制を確固たるものにしておくことが肝要です。この度の英文誌の統合は、その流れの一つと捉えられます。海外連携については、欧州との連携の一層の強化はもちろんですが、第6回アジア乳酸菌学会(ACLAB6)開催の経験に基づき、アジアの乳酸菌研究者と共同でアジア乳酸菌学会連合(AFSLAB)をさらに整備して行く必要があると考えております。
以上、思いつくままに私の考えを述べさせていただきましたが、他にも懸案事項が多々あると思います。会員の皆様からも学会に対する気づき事項やご要望をお気軽に事務局宛にお寄せいただければ有り難く存じます。今後これらの作業は、役員の方々と十分に議論を尽くして進めて行く所存です。ご協力、ご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。簡単ですが、就任のご挨拶とさせていただきます。